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Still Not Dead - ドット絵のダンジョンFPS

この時代にあえて2Dで攻める

「Still Not Dead」はドット絵で表現されているローグライクFPSだ。近年のグラフィック技術が発展する中、Greg Sergeant氏はあえて30年前の画質で本ゲームを完成させた。このゲームは彼が1人で設計から開発までを手掛け、サウンドトラックのみFormless Voyagerに依頼している。Greg氏は今作のゲームを、初代Doomの影響を受けつつ、ランダム生成のマップとダンジョン要素を加えた"ローグライクFPS"を目標にして制作したという。

ゲームのルールは簡単で、決められた数の敵を倒してアンロックされた出口を目指していく。マップには火炎放射器やチェーンソーなどの強力な武器、その他補給物資が落ちており、敵を倒して獲得したお金で購入できる。次のステージのためにマップのアイテムを根こそぎ取っておきたいところだが、一定時間そのマップをさまよっていると、画面が赤くなり無敵の骸骨が迫ってくる。この骸骨はマップのあらゆる障害物を破壊しながらプレイヤーを追いかけてくる。出口より脱出するほかに回避手段がなく、限られた時間の中でアイテム強化を図らなければならない。全6ステージから構成されるが、マップと敵が毎回ランダムに生成されるため、時には迷路のようなマップに出くわすことがある。そして追い打ちをかけるように大量の敵が生成されればゲームーバーは必至である。少ないステージながら、簡単にはクリアさせてくれない仕掛けが巧みに隠されている。
一定時間経つと無敵の骸骨が追いかけてくる

他のゲームの影響を受けつつ、独自の面白さを練り込んだFPS

Still Not Deadはドット絵のグラフィックゆえに、ゲームの動作はこの上なく軽快だ。家庭用のオンボードノートPCでも何ら問題なくプレイできる。そして私のGTX1080Tiを搭載したPCだと、350FPSという驚異的なフレーム描画の中で遊べている(蛇足である)。

Still Not Deadは初代Doomの良いところをふんだんに取り入れている。例えばアニメーションにおいて、敵がダメージを受けたとき苦しい表情を浮かべたり、撃たれた後に飛び散る肉片も生生しい。歩く時の縦揺れや銃の反動もきちんと表現されており、もちろん縦方向への照準合わせも存在しない(左右のみの画面移動)。また予算の問題なのか、モンスターの奇声やプレイヤーのダメージボイスが実装されていない点は、プレイする中で心残りとなった。

そして初代Doomにはない独自の仕様も多く盛り込まれている。例えばハンドガンとロケットランチャーでは弾の速さが異なるため、きちんと弾の軌道を計算して照準を決める必要がある。さらにマップのあらゆる壁は破壊することができ、ゴールの扉まで強行突破する荒業も一つの楽しみ方として提供される。

サウンドトラックはFormless Voyagerが制作しており、初代DoomのようなMIDIサウンドではなく80年代風のエレクトロ音楽を採用した。このゲームには時間の概念があり、絶えず空の色が青から緑、黄、紫、赤へと変化していく。その何とも不気味な世界観を、80年代風のエレクトロサウンドがさらに際立たせる。
壁を破壊して強行突破もできる
倒した敵の肉片が散らばる
サウンドトラックは80年代のエレクトロ音楽を想わせる

現在のfpsグラフィック順位は3位です。

840 pt
景色90pt
オブジェクト180pt
地面120pt
自然気象140pt
キャラ130pt
アニメーション180pt
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ハードコアの中での武装強化に燃える

Still Not Deadにはセーブの概念が存在せず、ライフが0になるとステージ1からのやり直しになる。初代Doomではメニュー画面からいつでもセーブできたのだが、今回はローグライクFPSということで、それが排除された。このセーブ機能の排除は今作にとって良い影響をもたらしている。ステージごとに1つずつ特殊スキルを付与していくことができるのだが、ジャンプ力が3倍になったり無限手りゅう弾を装備できたりと、プレイヤーのステータスは急速に強化されていく。そしてここで死んだら全てを失うという恐怖心も同時に強化され、より慎重な行動をやむなくされる。しかし慎重な行動は無敵骸骨の到来を意味する。破壊的に進もうが慎重に進もうが、どちらにも死のリスクがつきまとう。このハードコアの中で武装を強化していく楽しさは、ローグライクならではの醍醐味だ。
ステージごとに特殊スキルを付与できる(中にはマイナス要素も)
あと一歩...ここまで強化してきたのが台無しだ!!

総括

Still Not Deadは30年前のグラフィック技術に立ち返り、ランダム要素やハードコアシステムの入ったローグライクFPSとして完成された。初代Doomの良いところを盗みつつ、セーブ機能の排除や色相変化による奇妙な世界観は、独自の味つけとして優位に働いている。予算の問題ゆえか、キャラクターボイスが実装されなかったことは一つ心残りであるが、それは私の些細な主観である。たった6ステージの攻略に苦労を強いられることは悔しいが、破壊的な行動と慎重な行動のバランスを試行錯誤する過程はリプレイ性に優れる。シンプルなゲーム設計ゆえに実現した新しいスタイルのFPSと言える。

執筆者Writer

AnTytle

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