バトルフィールドV - 第2次大戦への回帰

第2次大戦の実話を基にしたキャンペーン

世界で5000万人以上の死者を出した人類史上最悪の争い「第2次世界大戦」。今作のバトルフィールド5は、まさにその壮絶な世界が舞台だ。ただノルマンディー上陸作戦やスターリングラード攻防戦などの大規模戦ではなく、ある少数部隊の戦闘を主に描いている。キャンペーンでは実話をもとにしたコンテンツが収録されており、例えば「旗なき戦い」はイギリス特殊舟艇部隊(SBS)の作戦がモデルで、「北極光」はノルウェーに現存するノルスク・ハイドロ重水工場での作戦を再現している。BF1にも増して、より命の重さを訴求する描写が多く、当時の惨状を身に染みて体感させられる。
「俺には妻と子供がいる」というセリフのシーン

グラフィックの精密さ

前作のBF1よりもグラフィックの品質は上がっている。線路のサビの表現が細やかになっていたり、水のうねりがより自然になっていたりと、より細かい部分のグラフィックが精密に作り込まれている。
水の中を歩くと波が起こる
くぼみの水たまりや落ち葉のゆらめきまで表現される
木のしわまで細かく再現されている
弾痕
靴底も兵士によって複数の種類が見られる。

マルチプレイヤーの敷居の高さ

バトルフィールドシリーズは2002年からの長い歴史があるため、プレイヤーの平均レベルも相当に高い。故にFPS初心者がはじめてBF5のマルチプレイをすれば、手も足も出ないことに絶望するだろう。ピョンピョン走り回りながらスピーディに敵を倒していくCoDは"初心者殺し"の代表格だが、今作のBF5はややCoDと似たスピード感がある。CoDの場合は茂みやごちゃごちゃとしたオブジェがなく、立ち回り次第では初心者にも敵を倒せる余地は残されている。しかし今作のBF5ではその余地すら排除されているように感じた。2ブロック先にいる敵の動きを読んで先回りしたり、茂みや煙幕に隠れている敵を的確に倒せるレベルになって、ようやくプレイを楽しめるようになるのではないだろうか。
グラフィックが向上したことが、かえって仇となり上級プレイヤーがより活躍する環境を作ってしまったように思える。過去作のBF3やBF4、BF1のような立ち回りではなく、BFHに近いプレイスタイルが要求される。

マラソン化は否めない

ここでいうマラソンとは、フラッグ試合において順々にフラッグを取っていき、敵も同じように動くことで戦闘が少なくただ走っているだけで試合が進む現象を指す。大人数で行動したほうがフラッグの奪取時間が短縮されるので、自然と集団行動になる。優れたマップでは、通路やオブジェを配置して、集団行動をばらしたり敵同士のリズムを崩す仕掛けがちりばめられている。BF5のマップは少しそれが足りないのか、あるいはフラッグの配置に改善の余地があるのかもしれない。

武器レベルを上げれば戦いやすくなる

武器にはレベルの概念があり、このレベルが上がるほど発砲時の反動が小さくできたり、移動速度を速くする技能を付与できる。レベル1からスタートするのだが、最初は銃の反動が大きく全く弾が敵に当たらない。初心者にはこのレベル上げをお勧めしたいのだが、何せ他のプレイヤーレベルが高く、そもそもポイントを稼ぐのに莫大な時間を要するというジレンマがある。
レベルが上がるほど有力な技能を付与できる

マウスに対し0.05秒の遅延がある

CoDやカウンターストライクなどの他のFPSゲームの後にBF5をプレイしてみると、エイムの遅延に違和感を覚えた。体感としては0.05秒くらいだろうか。この遅延の正体はリアルを追求したゆえの加減速仕様によるものだ。通常のFPSゲームでは瞬時に振り向くことができるが、現実では4kg以上ある自動小銃をぱぱっと振り回すことはできない。体を動かし加速しながら向きを変え、減速しながら向きたい方向に合わせるのが現実で、非常にねっとりしている。これをBF5で忠実に再現した結果、"もっさり"したエイム仕様となった。特に遠距離の敵に照準を合わせる難易度は非常に高い。CoDやカウンターストライクなどのeスポーツ志向のFPSに慣れている方は、あまりの違和感につまらないゲームだと感じるかもしれない。また現実志向のARMA作品などが好きであれば、特に違和感なく楽しくプレイできるだろう。
エイムに微妙な加減速がつくので、照準を合わせるのは至難

長押しやボタンなどユーザービリティに難あり

前向きに捉えると、過去の作品のUIが優秀であったと言えるのだが、今作は非常にストレスの多いUIとなってしまった。一番批判を受けているのが瀕死時の長押しである。敵に倒された後に瀕死の状態で一定時間を過ごすのだが、これをスキップすることはできず、左ボタンを長押しすることで瀕死時間を短縮しなければならない。毎回毎回長押しする動作が必要で、無駄な時間を過ごしているストレスが発生する。オープンベータ時より短縮時間は早くなったが、それでもこの仕様は十分にも至らない。

どんなに優れたユーザー体験を提供したり、ビジネスが優れていたとしても、UIという初歩的要素によって競合に大きく負けてしまったという事例は数多くある。私の知見の範囲では、かつてSNSとして人気を博していた「MySpace」が、UIを軽視したことで競合だったFacebookにユーザーが流れてしまい、そのまま衰退してしまったという事例がある。

BF5はおしゃれで高貴なUIデザインだが、一方で人間にとって操作しやすいUIを見過ごしてしまったのかもしれない。
瀕死時の長押しは結構なストレスになる
リスポーン画面の右下にボタン類が配置されている

グランドオペレーションの臨場感

ドミネーションやデスマッチは、初心者お断りの上級者同士によるハイレベルな戦いが繰り広げられるが、グランドオペレーションというモードは、初心者にも多少の活躍の余地がある。このモードは最大32vs32で4日間に及ぶ戦闘で構成される。歩兵たちの立ち回りも集団行動で敵と真正面から戦う形になる他、航空機や自走砲などの重火器も使用できるので、上級プレイヤーが無双できる機会は少なくなる。集団で一つの拠点を攻めのぼる様子は、かなり臨場感があり有意義なプレイが楽しめる。
グランドオペレーションの集団行動は躍動感にあふれる

総括

BF5はキャンペーンは過去最高とも言えるクオリティで、何度も遊び返したくなる内容だった。おそらく10年経ってもあのストーリーは脳裏に根強く残っていると確信している。マルチプレイはUIにおける欠点が露出しており、この点が非常にストレスとなり残念だった。操作性はBF1よりももっさりしており、より現実的で人間らしい動きとなった。立ち回りは分隊行動を前提としており、より強固な協力プレイが必要となる。
今作は非常に賛否の分かれるレビューが多く困惑した方も多いだろう。しかしこれはDICEの次なる挑戦だと前向きに捉えたい。私は次のBF作品も迷うことなく購入し、このシリーズの行方を見守りたいと思う。

執筆者Writer

AnTytle

2014年頃にAnTytleを設立。当初はプログラミング記事を書いていたが、2016年にYouTubeチャンネルのゲーム動画がヒットし、以来ゲーム分野にピボットした。

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