キングスレイド - 放置しながらキャラ育成をしよう

人生の限られた時間を、なるべく濃いものにしたい。私はよくそんなことを考える。2つ以上の作業をコスト0で同時並行できたら、どんなに充実することだろう。しかし人を雇えば人件費がかかり、機械で自動化するにも作る時間がかかる。この世には、コスト0でこれを実現する方法なんてないのだろうか。いや、ある。「他人が作った無料のコンピュータ」に任せればいいのだ。キングスレイドは、戦闘や探検をすべて自動プログラムが進めてくれるゲームである。自分は操作することなく、一つの小さな仕事が片付く頃には、キャラの持ち物がいっぱいになり、経験値もジャブジャブ入っていることだろう。しかし放置するだけのゲームなんて、どこに魅力を感じる余地があるのだろうか。ではこれから掘り下げていくことにしよう。

放置して強化して放置

キングスレイドというゲームは、放置してキャラクターが育つのが特徴の一つである。獲得したアイテムを装備して、より強い敵を倒していく。極限まで強くしたいというプレイヤーの思いは、いずれ中毒となり沼にハマることだろう。
画面左上の「AUTO」をタップすれば、キャラが勝手に戦ってくれる。
戦闘開始前に「連続戦闘」をタップすると、マップのマラソンまで自動化してくれるのだ。

放置放置と言ってきたが、

ここまで放置放置と、言い捨てるような紹介をしてきたが、キングスレイドのストーリーやグラフィックの作り込みは舐められたものではない。確かに放置系のスマホゲームは、プレイヤーにしてみれば、細部の作り込みなんてどうでもいいことだろう。しかしどうだろう。レベルが上がってプレイに余裕がでてくると、ふとした時にパンチラの角度が気になったり、好きなキャラの表情をエモーションページで見返したりすること、ヘビーユーザーを経験した方なら1度はあることだろう。ゲームの作り込みは、開発者の思いはおろか、一部の上位プレイヤーに向けられた特典なのである。
60体に及ぶキャラが収録されているのだが、そのエモーションは性格や容姿によって全く異なる。
敵キャラのダメージ受けたときの、その苦しそうな顔まで表現されているので、プレイされるときは注目してみてほしい。

キングスレイドはRPGなのか?

放置ゲームでありながら、細部の作り込みに長けている。これはひょっとして、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのような、いわるゆ"本場のRPG"のビジョンがあるのではないだろうか。世に名を残した名作RPGに共通するのは、「操作性」「世界観」「サウンド」が挙げられる。他にも様々あるが、キングスレイドはどこまで"RPG"なのだろうか。。

操作性

始めたばかりの時は、どんな名作ゲームでも操作に困ることがある。しかしこれはチュートリアルという飛び道具で解決できる。キングスレイドのチュートリアルは非常に優れている。必ず3行以内の端的なテキストで、次に何をすべきかを分かりやすく伝えてくれる。アイコン類におけるUIは、画面の四隅にきちんと整列されている。よく使うアイコンはリストの端に配置されていたりと、視覚的な工夫もなされている。
端的にまとめられたテキストチュートリアル。
どの装備がより強いか弱いか、矢印のアイコンですぐに判別できる。
フィールドのマップを見ていて、ここにもUIの工夫があることに私は気づいた。画像では判別できないが、単なる装飾の役割を担うオブジェクトは、例外なく静止しているのだ。よく他のRPGのマップでは、海の波がうねっていたり、鳥を飛ばして雰囲気を出す工夫があったりするのだが、キングスレイドにはそれが全くない。マップのどこをタップすればいいのか、UIをより鮮明に判別できるように考え込まれた施策なのだろうか。
マップのUIは非常に見やすい作りとなっている。

世界観

スマホゲームのRPG、ましてや放置がメインとなるこのゲームにおいて、世界観など重視されているのだろうか。キングスレイドは、闇に侵食される世界を英雄たちが守っていく物語である。キャラクターにはきちんと個性があり、だれが話しているのか把握しながら進められる。拠点には武器を強化するための鍛冶屋があったり、仲間との交流を深める宿屋があったりと、育成の要素もふんだんに盛り込まれている。いわゆるRPGの王道を征く設定で、特に際立った点はないのだが、重要となる要素はきっちり詰まっている。
話をしているキャラだけ明るく強調させる工夫が施されている。
語尾に「ギャ」や「~」を用いて個性を出す工夫も。これは日本語にしかできない裏技だ。

サウンド

サウンドには、攻撃音やタップ音、BGMなど様々に分類できる。名作RPGは例外がないと言っていいほどに、サウンドがしっかりしている。最近では「UNDERTALE」の戦闘音楽がかっこいいと話題になり、あのBGMを聞きながら戦闘をすることに意義を感じるプレイヤーが続出した。BGM自体の評価も大事なことだが、私はサウンドの繋ぎや音量変化、インタラクティブ性を重要視したい。
キングスレイドのサウンド表現は、総じて惜しいという印象であった。例えばポータルから他のマップへ瞬間移動できるのだが、この時BGMがぶちっと切られ、次のBGMが再生される。例えばクロスフェードで自然にマップ移動する様子を表現してもいいのではないだろうか。

キャラクター同士が会話をする場面においても、違和感を覚える点があった。敵が近づいている様子を危機感溢れるBGMで表現しているのだが、ふとキャラ同士の雑談が始まることがある。この瞬間に陽気なBGMがルンルン♪と流れてきて、これから戦闘を開始するという緊張感が一気に崩れてしまうのだ。BGM自体の作りが立派なだけに残念である。

バトルの際に発生する攻撃音やセリフの表現に関しては、やはり放置系のオートバトルということもあり、魅力を感じる点はなかった。複数のキャラが同時に攻撃したり、同じタイミングでスキルを発動したりするため、どうしても音が被ってしまうのだ。敵味方を含めると、10体分のサウンドが同時に発生するため、もはや雑音を聞いている感覚は否めない。しかしオートバトルにおいて、これらを改善できる優れたアイデアは存在するのだろうか。

キングスレイドはスマホゲームとコンシューマーのハイブリッド

スマホゲームは、仕事や勉強のすきま時間にパッパっとプレイできることが強みである。一方の家庭用ゲーム機では、腰を据えて1,2時間のまとまった時間でじっくり楽しむものが多い。キングスレイドというゲームは、両者をバランスよく取り入れたゲームと言える。すきま時間に1バトルやったり、即席のパーティでボス戦に挑む遊び方はスマホゲーム。そして仲間を増やしたり、レベル上げのためにマラソンする遊び方はコンシューマーゲームだ。

ガチャを導入せず、買い切り型に

この記事を終える前に、少しお金の話をしよう。現代のスマホゲームは、たいていはガチャの収益によって成り立っている。買い切り型のゲームより遥かに利益率が高く、もちろん原価は0だ。さらにユーザーの購買障壁も低くなる。例えば、激レア揃いのガチャが10回1000円で回せるのと、300円の買い切り型のスマホアプリを購入する場合では、心理的に前者の方がお金を出しやすくなる。「もしかしたら激レアが自分だけに当たるかもしれない!」「あと1回回せば当たるかもしれない!!」まさにギャンブルの心理と全く同じことが、スマホゲーム市場に蔓延っているのだ。

そんな中、このキングスレイドの課金形態は、アイテムの買い切り型を採用している。1キャラにつき6000円と、かなり強気の価格設定だが、ガチャのように、財布の紐がちぎれて口が下を向いている状態に比べれば、だいぶ優しいだろう。これらのアイテムはゲーム内通貨で販売されているため、長期的にプレイすれば、無課金でも全キャラを揃えることも不可能ではない。

ガチャの時代に、あえて買い切りで攻めるVespa社の戦略が気になるところだ。
キャラ1体が6000円で販売されている。他にルビーやセット販売もある。

総評

キングスレイドは放置プレイでレベルを上げていくゲームだ。ストーリーは特に目立った特徴はないが、鍛冶屋やキャラ育成といったRPGには欠かせない要素は抜け目ない。サウンドは、フェードを用いるなどの工夫が欲しいところだが、スマホゲームとしては許容範囲だろう。放置してレベル上げしたり、パーティを組んで強敵を倒す点はスマホゲームならでは。一方でキャラの育成やストーリーを追ってじっくりプレイできる点はコンシューマーゲームのようだ。この両者をバランスよく取り入れらゲームと言える。課金形態は、今流行りのガチャシステムではなく、買い切り型という優しい形態をとっている。仕事や勉強で忙しいけど、時間の合間にゲームがしたいという方にはオススメのゲームだ。

執筆者Writer

AnTytle

2014年頃にAnTytleを設立。当初はプログラミング記事を書いていたが、2016年にYouTubeチャンネルのゲーム動画がヒットし、以来ゲーム分野にピボットした。

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